彼を知りて己を知れば、百戦して殆(あや)うからず [戦略]
彼を知りて己を知れば、百戦して殆(あや)うからず(孫子)
「孫子」は中国の春秋時代に活躍した「孫武」が書いたとされる兵法書で、全十三篇からなっています。
「彼を知り・・・」はその中の「防攻篇」の中の一節で非常に有名なのですが、実は続きがあります。
彼を知りて己を知れば、百戦して殆(あや)うからず
彼を知らずして己を知れば一勝一負す。
彼を知らず、己を知らざれば戦う毎に必ず殆(あや)うし。
ビジネスの世界では必ず競争相手がおり、自社が優れた商品やサービスを持っていてもライバル会社の動向を無視していては勝利を収めることはできません。
経営分析の手法として、SWOT分析という手法が有名ですね。
Sは強み(Strengths)、Wは弱み(Weaknesses)、Oは機会(Opportunities)、Tは脅威(Threats)です。
この場合でも、ライバル会社とのそれぞれのSWOTを比較して始めて有効な分析手法となることに留意しなければなりません。
例えば、O(機会)の分析で、 自社に有利に働くような外部環境の変化があったとしても、その変化をライバル会社より自社が有効に生かすことができるか否か、という分析がなければ意味が無いのです。
このあたりの分析手法についてご興味がおありの方は「クロスSWOT分析」について調べて頂きたいと思いますが、私はSWOT分析を行う度に、孫子の言葉を思い出します。
さらに最近では「彼」、つまり敵やライバルそのものを定義することも簡単ではありません。
例えば、コーヒー業界で考えると、スターバックスにとってのライバルはタリーズやドトールではなく、マクドナルド、さらにはセブンイレブンの100円コーヒーかも知れません。
また、出版業界で考えると、講談社のライバルは集英社や岩波書店ではなく、電子書籍の普及を進めるAmazonなのかも知れませんね。
さて、あなたは彼を知り己を知っているでしょうか?
彼を知りて己を知れば、百戦して殆(あや)うからず(孫子)
世の中の 人は何とも云はばいへ わがなすことは われのみぞ知る [信念]
世の中の 人は何とも云はばいへ わがなすことは われのみぞ知る(坂本龍馬)
薩長同盟を仲介し明治維新の立役者の一人となった坂本龍馬が10代の頃に作った句です。
司馬遼太郎氏の「竜馬がゆく」はソフトバンクの孫正義氏が愛読していた本でもありますが、現在の日本における坂本龍馬のイメージは「竜馬がゆく」によって形作られているといっても過言ではないでしょう。
私も「竜馬がゆく」のイメージで投稿をしているのですが、坂本龍馬は小さいころから愚鈍で、他の幕末の志士たちにくらべて非常に奥手であったようですね。
で、この句は、少年の頃、竜馬は父親から「廃れものになるか」と心配された時の竜馬の気持ちを詠んだ句であると言われています。
想像ですが、この当時の竜馬は大きな劣等感を持っていたと思われるのですが、 その劣等感こそが後に大きな仕事を成し遂げる原動力になったのではないでしょうか。
ビジネスの現場においては、周りの人の意見を大切にしなければならないことは確かですが、周囲の人が何と言おうとも、自分の心の中にある信念は失ってはなりませんね。
ところで、あなたは心の中に信念を抱いていますか?
世の中の 人は何とも云はばいへ わがなすことは われのみぞ知る(坂本龍馬)
竜馬がゆく (新装版) 文庫 全8巻 完結セット (文春文庫)
- 作者: 司馬 遼太郎
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2012/03/13
- メディア: 文庫
マーケティングとは経営そのもので、消費者に自社を愛してもらうことが最終ゴール。 [顧客]
マーケティングとは経営そのもので、消費者に自社を愛してもらうことが最終ゴール。(フィリップ・コトラー)
コトラー氏はアメリカの大学教授で、マーケティングの神様とも言える人物です。
彼の著書「マーケティングマネジメント」は1968年の初版発行後、改定を重ね、現在でもマーケティングの教科書として経営学を学ぶ学生に読まれているとともに、世界中の経営者が参考にしているとされています。
私もマーケティング・マネジメントの最新版を少しだけ読んだことがありますが、実際に存在する企業のマーケティング戦略についての事例が非常に豊富で、現存する有力なマーケティング理論を網羅した内容となっています。
マーケティングというものは理論を完成させることよりも、刻々と変化する実際のビジネスの現場で適用して、初めて意義がある実践重視の理論であることは間違いありません。
なお、マーケティングについての定義は時代により移り変わっていますが、マーケティングの神様ともいえるコトラー氏が「マーケティングとは経営そのもの」と定義したことの意味はとても大きいことでしょう。
確かに、どのようなビジネスでも、消費者(顧客)無しには成り立たず、マーケティングの考え方は経営者や営業マンだけでなく、ビジネスに従事する全員にとって重要なものであることは間違いありません。
それでは、あなたにとってのマーケティングはどんな活動ですか?
あらためて、考えさせられる言葉ではないでしょうか。
マーケティングとは経営そのもので、消費者に自社を愛してもらうことが最終ゴール。(フィリップ・コトラー)
強い思い、情熱とは、寝ても覚めても、二十四時間、そのことを考えている状態だ。 [情熱]
強い思い、情熱とは、寝ても覚めても、二十四時間、そのことを考えている状態だ。(稲盛和夫)
稲盛和夫氏は京セラの創業者で、第二電電(現在のKDDI)を設立した人物です。稲盛氏はJAL(日本航空)が民事再生法の適用を申請し経営破綻した際には、会長への就任を要請され、経営立て直しに手腕を発揮しました。
稲盛氏は受験に失敗し希望する学校に入れなかったり、就職活動の時にも業績の良くない会社に就職したりと、決して恵まれた道を歩いてきたわけではありません。
しかし、ファインセラミックスという分野で、一心不乱に研究に打ち込み、 周囲から乞われる形で京セラを創業し、その後も絶え間ない努力によって京セラを一流の企業に育て上げました。
すべては、稲盛氏の人生観、いや宗教観とも言えるほどの人間哲学に基づくものであることが良く知られています。
あなたの心に24時間つねに考え続けているような「情熱」はありますか?
情熱は成功の源となるものだ。成功させようとする意志や情熱、そして情熱が強ければ強いほど、成功への確率は高い。強い思い、情熱とは、寝ても覚めても、二十四時間、そのことを考えている状態だ。(稲盛和夫)
最初にあったのは夢と、そして根拠のない自信だけ。そこからすべてがはじまった。 [起業]
最初にあったのは夢と、そして根拠のない自信だけ。そこからすべてがはじまった。(孫正義)
ソフトバンクの創業者、孫正義氏の言葉です。
孫正義氏は司馬遼太郎氏の小説、「竜馬がゆく」を愛読し アメリカに短期留学し、その後高校を中退してアメリカに渡っています。
渡米する前に、孫正義氏は日本マクドナルドの社長であった藤田田氏の元をアポなしでしつこく訪問し、「アメリカで何を学ぶべきか」と質問、藤田氏より「コンピュータ」について学ぶよう助言を受け、実際にコンピュータの道に進んだというエピソードがあります。
とにかく抜群の行動力と人並み外れた実行力、そしてカリスマを持っている経営者ですね。
ちなみに、孫正義氏の尊敬する経営者は本田宗一郎氏で、一代で大きな事業を築き上げた本田宗一郎氏を尊敬しているそうです。
また、孫氏はユニクロの柳井氏とも親交が深く、2人ともマクドナルドの創業者レイ・クロックが書いた「成功はゴミ箱の中で」を愛読していたことが知られています。
孫氏が人並み外れた能力を持っていたことに疑いの余地はありませんが、それに加えて夢と根拠のない自信がなければ、現在のソフトバンクが生まれることは無かったことでしょう。
あなたは夢と根拠のない自信を持っていますか?
最初にあったのは夢と、そして根拠のない自信だけ。そこからすべてがはじまった。(孫正義)
十回新しいことを始めれば九回は失敗する。 [失敗]
十回新しいことを始めれば九回は失敗する。(柳井正)
ユニクロを展開するファーストリテイリング創業者、柳井正さんの言葉です。
柳井さんは確率について語っているのではなく、失敗を恐れず新しいことを始める勇気を持てということを語っているのだと解釈しています。
柳井さんは「致命的にならない限り、失敗はしてもいいと思っていました。やってみないと分からない。行動してみる前に考えても無駄です。行動して考えて修正すればいい。」とも発言しています。
ビジネスの現場においては失敗が許されない場面があることは間違いありませんが、その許されない失敗を恐れて何もしない事が最大のリスクであるという思想が読み取れます。
衣料品店という成熟しきったように見えた業界で、柳井氏は失敗を恐れずチャレンジし続けたことで、現在のユニクロの基礎を築いたのでしょうね。
十回新しいことを始めれば九回は失敗する。(柳井正)
やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、褒めてやらねば人は動かじ [人間]
やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、褒めてやらねば人は動かじ(山本五十六)
山本五十六氏は旧大日本帝国海軍の連合艦隊司令官として真珠湾攻撃を計画立案し指揮した人物です。
このように書くと好戦的な人物であったように思われるかもしれませんが、山本五十六氏は決して好戦的な人物ではなく、むしろ欧米びいきでアメリカとの戦力差を冷静に判断しており、誰よりも戦争に反対していたそうです。
実は山本五十六長官のこの言葉には下敷きがあり、米沢藩の第九代藩主で名君として誉の高い、上杉鷹山公の「 してみせて、言ってきかせて、させてみよ」という言葉が元になっています。そこに、「ほめてやらねば人は動かじ」という考えを加えたことにより、山本五十六の名言として知られるようになりました。
山本五十六氏については真珠湾攻撃を成功させた名将という評価がある一方で、真珠湾攻撃は大きな博奕であったという評価もあります。
実際に、「引退後はモナコで博奕打ちになる」と言っていたとか。
私はビジネスには博奕的な要素が多く存在すると思っていますので、山本五十六氏には経営者的な手腕があったのではないかと感じています。
やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、褒めてやらねば人は動かじ(山本五十六)
しばしば、直観が頼みの綱になる [直観]
しばしば、直観が頼みの綱になる(ビル・ゲイツ)
マイクロソフトの創始者ビル・ゲイツ。コンピュータのように計算づくで行動しているように見えるビル・ゲイツも直観を重視していることがわかる名言です。
もちろん、すべてを直観に頼ることを勧めている訳ではないでしょうが、 頼みの綱という表現を使っているからには、判断を下す時の大切な要素と考えていることはなっていることは間違いありません。
人間の脳はどのコンピュータよりも高性能であると言われていますが、直観は過去の経験をすべてインプットされた上で出された結果だという説もあります。
もちろん、基礎となる正確なデータが脳にインプットされていなければ、間違った答えが出ることもあり得ますのでご注意ください。
ビジネスにおいてすべての決断は自己責任です。 どのような方法であれ、後悔しないように決断を下すことが大切であり、その判断基準の一つとして直観を信じるというのはアリでしょう。
しばしば、直観が頼みの綱になる(ビル・ゲイツ)
私の現在が成功というのなら、私の過去はみんな失敗が土台づくりをしていることにある。仕事は全部失敗の連続である。 [失敗]
私の現在が成功というのなら、私の過去はみんな失敗が土台づくりをしていることにある。
仕事は全部失敗の連続である。(本田宗一郎)
本田技研工業の創業者、本田宗一郎氏の言葉です。
本田宗一郎氏は生粋の技術者で、「できない」という言葉を嫌い、若い技術者にスパナやヤスリを投げつけたり殴ったりしたこともあったそうです。
ピストンリングを開発する際には失敗に次ぐ失敗の連続でしたが、学校に通い直し、実験を重ねて遂に完成にこぎつけています。
同様に、ビジネスを進めていく上で「失敗」ということを経験したことがない人はいないと思います。
もちろん、一度で成功できるに越したことは無いのでしょうが、むしろ失敗こそが大きな成功のための土台を作っているということを、技術者である宗一郎氏は誰よりも良く理解していたのだと思います。
一方で、社長を退任した後は日本全国に約700か所あった整備工場を廻り、一人ひとりの従業員たちと握手をして回りました。
その時、油にまみれた手で握手をしようとして、慌てて引っ込めようとした従業員に、「その油まみれの手が良いのだ。俺は油のにおいが大好きなんだ」といって そのまま握手をしたエピソードも有名です。
なお、本田宗一郎氏の左手の親指と人差し指は50年以上にわたる仕事で削られ、右手に比べて1センチ以上短くなっていたとか。
そんな本田宗一郎氏の言葉には大変な重みがあると感じます。
私の現在が成功というのなら、私の過去はみんな失敗が土台づくりをしていることにある。
仕事は全部失敗の連続である。(本田宗一郎)
もし今日が自分の人生最後の日だとしたら、今日やる予定を私は本当にやりたいだろうか? [予定]
もし今日が自分の人生最後の日だとしたら、今日やる予定を私は本当にやりたいだろうか?(スティーブ・ジョブズ)
アップルコンピュータの創業者スティーブ・ジョブズがスタンフォード大学の卒業祝賀スピーチで述べた言葉です。
ジョブズは17歳の時にこの言葉を知り、それから毎日鏡に向かって問いかけを行ったそうです。
そして、もしNOという言葉が数日続くのであれば、そろそろ何かを変えなければならないということだと。
また、人生を左右するような重要な選択を迫られた時には常に決断を下す手がかりとなった言葉だと述べています。
私たちはジョブズほど偉大な経営者ではありませんし、私たちの社会的な影響力はジョブズの足元にも及ばないと思います。
しかし、 ジョブズにとっても私たちにとってもたった一度の人生であることは間違いありません。
ビジネスにおいて、そして人生において何か迷った時には、この言葉を自分に問いかけてみてはいかかがでしょうか。
もし今日が自分の人生最後の日だとしたら、今日やる予定を私は本当にやりたいだろうか?(スティーブ・ジョブズ)